「ハッカソンとは、プログラミングの技術を競うもの。」
そのようなイメージを多くのひとは抱いているかもしれない。しかし、Solanaはちがう。実はアイデアひとつで挑戦することが可能だ。
Superteam Japanは、Radarハッカソンへの挑戦者をサポートするため、Build Stationというイベントを数多く開催した。そのうち一部の日程では、前半でSolanaの知識を伝える講義、後半にハッカソン提出物を制作するワークショップという形式がとられた。
わずか一日という時間で、ハッカソンという技術イベントとは縁遠い参加者が、どれだけの達成度まで到達できたのか?
10月5日、福岡で開催されたBuild Stationに参加したAmemiya氏による体験記をご覧いただきたい。
2024年の10月、私はスーパーチームジャパンが福岡で開催した、現在開催中のハッカソン「Rader」の提出物が2時間半で完成するイベントに参加しました。このイベントは、前半と後半にわかれており、前半ではSolanaやWeb3の解説が行われました。
Solanaは高速かつ低コストの取引を可能にするネットワークで、イーサリアムなどの他のブロックチェーンと比べても独自の優位性を持っています。世界中に分散された1377のバリデータがSolanaを支え、ネットワークの信頼性を確保しています。このような分散型システムにより、仮に一部のバリデータがダウンしても、他のバリデータが機能を維持することでネットワークが止まることはありません。
Solanaはただの技術的インフラではなく、ユーザーや開発者に対して進化し続けるアプリケーションプラットフォームです。多くのプロジェクトが試行錯誤を繰り返しながら成長しており、「行動で示す」文化が根付いています。Solanaの開発者コミュニティでは、単に話すのではなく、実際の成果をもってその価値を証明する姿勢が評価されています。これは、ビットコインがかつて目指していた「日常決済での利用」という夢を、Solanaが実現しようとしていると言えるでしょう。
Solanaは、ゲーミング、ソーシャルメディア、DeFi(分散型金融)、NFTs、ペイメントなど、様々な分野で成長を続けています。特に注目すべきは、Google、Discord、Stripeなどの大手企業との提携です。これにより、Solanaは単なるブロックチェーン技術にとどまらず、既存のWeb2企業とも協力しながら新しい価値を創出しています。また、VISAがSolanaのペイメント技術を活用しようとしていることも、Solanaの未来に対する期待をさらに高めています。
加えて、Solanaモバイルという新しい分野にも進出しています。環境に配慮したハードウェアウォレットを備えたスマートフォン「SEEKER」のリリースが予定されており、グローバルなユーザーに新しい体験を提供することが期待されています。これは、従来のモバイル体験を超えるものであり、より多くの人々がブロックチェーン技術にアクセスできる未来を描いています。こうした事前知識を踏まえ、いよいよ現在開催されているハッカソン、Radarに提出するための提出物作成です。
私はスーパーチームのメンバーですが、エンジニアではありません。正直なところ、ハッカソンなどの技術イベントには以前から高いハードルを感じていました。しかし、実際に今回のイベントに参加してみて、その考えは大きく変わりました。何と、わずか2時間半という限られた時間でー登録からプロジェクトの提出まで行うことができたのです。
私が今回挑戦できた背景には、自分が出版社で編集者をしていた時に感じていた課題がありました。近年、出版社では著名な著者の書籍ばかりが注目され、本当に良いアイデアや社会的に重要なコンテンツが表に出にくくなっているのです。私はその現状にフラストレーションを感じていました。そこで、Solanaの技術を活用すれば、個人が自分の好きなプロジェクトや社会的に意義のあるコンテンツを直接支援できる仕組みを作れるのではないかと考えました。
Solanaの強みは、その高速・低コストなネットワークにあります。この特徴を活かし、特定の著者やプロジェクトが従来の出版業界の枠を超えて、直接支援を受けられるような仕組みを作ることができると考えました。例えば、優れたアイデアや社会的に重要なテーマを持った書籍やコンテンツが、Solanaを通じて支援を受け、その価値が広く認識されるような未来を描いています。
このような仕組みを作ることで、著名な著者や人気のあるトピックに限らず、より多様なアイデアやクリエイティブなプロジェクトが世に出やすくなります。Solanaのコミュニティに支えられ、NFTやトークン化された資産を通じて、個々の支援者がコンテンツの一部を所有し、その成功に貢献できるというモデルが実現可能です。
今回のハッカソンで私は、Solanaを使ったプロジェクトを提案し、このアイデアを形にすることができました。エンジニアリングのスキルがなくても、自分のバックグラウンドやアイデアを活かして、実際にプロジェクトを提出し評価されるという経験は非常に貴重でした。これを実現可能にしたのはテクノロジーです。
アイデアだしは私はチャットGPTを利用して、一緒にディスカッションをするなかでブラッシュアップしました。会場でサポートしてくださるメンバーともディスカッションをかさね、でてきたアイデアをGammaというアプリを利用し、AIにパワーポイントを作成させます。その時間はわずか数分です。
その後は、HeyGenというアプリを利用し、作成したパワーポイントをもとに動画を作成します。こちらも、アバターを自分で選択し、読み上げるためのスクリプトを作成するなどの手間はありますが、20分程度あれば、自分の代わりにアバターがプレゼンを選択してくれます。
最後に今回はギットハブが提出項目に含まれていたので、要件を確認します。エンジニアではないので、コードは埋められませんでしたが、プロダクトの概要を埋めて、ひとまず要件をみたします。ちなみに、完璧に全てを埋めないといけないと思いがちですが、最も重要なのはまず提出することです。どこかで止まってしまうと、そこから先に進まなくなるので、まずは埋められるところからうめていくことを重視しましょう。
ソラナのハッカソンはエンジニアだけのためのものではありません。プログラミングの技術がない人でも気軽に参加できるようになっており、スーパーチームのメンバーが徹底的にサポートしてくれます。参加者が自らのプロジェクトを提出し、技術的な課題に挑戦します。私自身、技術的なバックグラウンドがないため最初は不安でしたが、実際には限られた時間内でプロジェクトを完成させることができ、大きな達成感を得ました。
このハッカソンでは、Solanaの技術や特徴を活用し、より高速かつ安価な取引やNFTの生成が可能になりました。また、持続可能なビジネスモデルへの貢献も可能です。私の提案したプロジェクトでは、出版業界の課題を解決するためのモデルを提示し、より多くの人々が重要なコンテンツを支援できる仕組みを提案しました。
このハッカソンを通じて、Solanaコミュニティの面白さを実感しました。技術的なスキルに限らず、アイデアやビジョンを持っている人々が集まり、互いに協力し合うことで、新しい価値を創造できるのです。今後も、このコミュニティの中でさらなる挑戦を続けていきたいと考えています。