都市はイマージェント・システムです。都市がイマージェントシステムといえるのは、個々の要素（インフラ、法律、金融、商業など）の単なる合計ではなく、これらが相互に作用して全体として機能し、予測不能な形で進化していくからです。
偉大な都市を形成する要素を1つや2つの具体的な何かに絞り込むのは困難です。それにもかかわらず、一部の都市は混雑して生活費が高いにもかかわらず、最高の人材と資本を引きつけます。
都市はインフラ、法律、金融、商業などを構成要素として必要としているものの、これらのいずれかに基づいて成功を予測することはできません。多くの都市はこれらの要素が多くなくても繁栄しています。全ての要素を持っていても、繁栄しない都市もあります。このように、都市の成功は個々の要素の合計ではなく、これらが相互に作用して生み出される全体としての力に依存しているため、都市はイマージェント・システムといえます。
Cliff Ellisは「都市の歴史」についてのブログを書いています。その中で、彼はKevin Lynchの「良い都市形態の理論」について語っています。彼は都市のパフォーマンスの5つの次元に分けています。
さらに、彼は都市がこれらの要素を効率的にトレードオフし、発展の果実を市民に公平に分配する必要があると言っています。
以下の段落は特に感動的でした。
「これらの基準は、良い都市作りを目指す都市のビルダーに目標を示しつつ、良い都市作るための多様な方法を認めています。都市はそれぞれが独特で、何十年、何世紀、または何千年もの歴史的進化の産物であるため、絶えず魅力的です。
私たちが都市の通りを歩くとき、私たちは時間を歩き、過去の世代の都市建設の遺産に出会います。パリ、ベネチア、ローマ、ニューヨーク、シカゴ、サンフランシスコと各都市にはその栄光と失敗があります。理論的には、歴史の教訓を学び、子孫たちが賞賛し、保存したいと願う都市を建設することができるはずです。それは都市計画を行うすべての人にとって常に挑戦であり続けます」
実際には、最も偉大な都市は生産者の集まる地域を中心に建設されています。過去にはナイル川のそばの肥沃な土地を中心に作られ、今日では住宅環境、インフラ、税制を通じて作られます。しかし、誰も都市の未来を前もって予測することはできませんでした。それはその時の市民同士の関係性や共通の努力、そして都市行政によって育まれ、作り上げられます。
今までの話をまとめ、インドのSuperteamを例に、L1ブロックチェーンの立ち上げについて検証しましょう。
SuperteamのKashは「Building communities that ship」という記事で表題について多くを語りました。おそらく最も重要な決定は、メンバーシップの上限を「#proof-of-work」を使って制限することでした。これにより、コミュニティが繁栄するために必要なメンバー間での適度な摩擦が生まれます。
人々は2つの間違いを犯します。最初の間違いは全ての人々を招待してしまうことです。良い時にはほどよいノイズをもたらし、悪い時にはゴーストタウンのようにしてしまうことです。
また、NFTやトークンを通じてメンバーシップを販売するケースもあります。この場合、ある程度の富を持つ人々がメンバーになりますが、彼らは必ずしもあなたのミッションに共感しているわけではなく、何らかの金銭的なリターンを期待しています。SuperteamのAkshay BDの言葉を引用すると、「知らない人々やミッションを共有していない人々から資金を調達することはコミュニティではなく、サーカスです」。
これはどういう意味かというと、コミュニティとは共通の目的や目標を持つ人々が集まる場所です。しかし、単にお金を集めるために誰でも参加させると、その目的が失われてしまいます。お金を出す人々がコミュニティの目的に関心を持っていなければ、彼らは協力し合わず、ただ自分の利益だけを考えるようになります。結果として、まとまりのない混乱した集団になってしまい、これを「サーカス」と呼んでいるのです。
したがって、Superteamにとって、種まきする最初のステップは、デジタルプロデューサーとしての能力と意思を兼ね備えている人々のための場所を作ることでした。
次は、メンバーに収益を得る機会を作ることが重要です。今日、ほとんどのSuperteamのメンバーに共通しているのは、Superteamを通じてオンラインでドルを稼いだという事実です。これは、Solana Foundationやその他のエコシステムプロジェクトなどのスポンサーからもたらされる助成金（Grant）、報奨金（Bounty）、および仕事を通じて行われ、コミュニティGDPとしてカウントされます。
Superteamにはトレジャリー（資金）がありません。また、価値を蓄積するトークンはありません。すべての価値はメンバーや彼らの事業に蓄積されます。
最後にはSuperteam Earnを構築することです。このプログラムを1年間AirtableとNotionを使って試験的に実施した後、プロダクト化してスケールすることに成功しました。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
Superteamは、個人の主権と自由を尊重します。メンバーは、好きなだけコミュニティに貢献できます。チームは個々のメンバーの情熱に応えるプロジェクトを中心に組織され、解散します。経験則で言うと、明確なトップを持つプロジェクトが最も結果を出す可能性が高いです。
素晴らしいのは、メンバーが複数のチームに参加し、チームは迅速に形成され、解散されることです。
ガバナンスがないという意味ではありません。コアチームは、Discordの役割を整理し、共通の理解を促進し、必要に応じてメンバーを削除するなどの決定を行います。
たとえば、Superteamの重要な価値の一つは共に勝つことです。私たちはお互いの足を引っ張るのではなく、支え合います。これをどのように行うかのルールはありませんが、悪い兆候が観察されると、コアチームが介入します。成功するコミュニティの兆候は、メンバーがこれらを自主的に発見し、自分たちで声を上げることです。
コアチームの介入は、絶対に必要な場合、つまりコミュニティが必要なことを行えていないか、または意欲がない場合にのみ介入します。そして、私たちはこれがSolana Foundationがエコシステム内で果たすべき役割にも通じると信じています。
同時に、すべてのメンバーがコアチームのやり方に賛成するわけではないことを理解しています。そのような場合、メンバーはSuperteamを「フォーク」することが勧められます。「フォーク」とは、新しいチームを作ることです。最終的にSuperteamがフォークされても、それは失敗ではなく成功と見なされます。これは、以前の記事で「友人が新しい都市に引っ越す」時のように祝うべきことだと言われています。
Superteamのブログ ”On Growing Solana City”（2022年12月13日公開）を日本語に翻訳・加筆編集したモノです。
